今の転職市場は、歴史的な追い風。雑誌で職探しした世代から見た「動くなら今」の理由

2026年7月5日

私が20代で転職を繰り返していた頃、頼れる情報は本屋で買う転職雑誌だけでした。景気の良い話なんてほとんどなく、「雇ってもらえるだけありがたいと思え」という空気の中で、給料の安さと拘束時間の長さに耐えながら、それでも会社を変え続けた世代です。

その私から見て、今の転職市場がどう見えるか。先に言います。

うらやましいくらいの追い風が吹いています。 これは気分の話ではなく、数字で確かめられる話です。今日はその数字を、私の時代との比較で見ていきます。

数字で見る、今の追い風

1. 給料が「上がる時代」に入っている

2026年の春闘(会社と労働組合の賃金交渉)では、賃上げ率が平均5%を超えました。これで3年連続の5%超えです。長い間ほぼ横ばいだった日本の給料が、ここ数年ではっきり上がり始めています。

私の時代には考えられなかった数字です。当時は「昇給ゼロが普通」の会社をいくつも見てきました。

2. 転職した人は、実際に年収が上がっている

大手人材会社マイナビの調査(2026年版)によると、転職した人の年収は転職前の平均514.5万円から533.7万円へ、平均で約19万円上がっています。そして注目すべきは20代で、平均21.5万円のアップ。全世代の中でも大きく上がっているのです。

「転職すると給料が下がる」という古い常識は、データの上ではもう崩れています。

3. 求人は、探す人より多い

今の転職求人倍率は2倍を超えています。つまり転職したい人1人に対して、求人が2件以上ある状態です。雑誌の発売日を待って、限られたページの中から探していた時代とは、選べる量がまるで違います。

朝の交差点で風を受けて立つ人の後ろ姿

ただし「全員に追い風」ではない。ここは正直に

いい話ばかりでは信用できないと思うので、裏側も書きます。

今の市場は**「二極化」**が進んでいると言われています。企業側は人手不足でも、誰でもいいから採るわけではない。若手や、経験がはっきりしている人には追い風が強く吹く一方で、「何ができるか」を説明できない人には、それほど甘くありません。

それから、賃上げも会社の規模や体力で差があります。大手が満額回答を連発する一方で、体力のない会社は5%の賃上げについていけない。つまりこれからの時代、「上げられる会社」と「上げられない会社」の差が、ますます開いていくということです。

……ここまで読んで、気づきませんか。これは前に書いた話とつながっています。あなたの給料は、あなたの頑張りより「どの会社にいるか」で決まる。 賃上げの時代は、その差をさらに広げるんです。上げられない会社で我慢していても、世の中の物価と給料の水準が上がっていくぶん、実質的にあなたは毎年少しずつ貧しくなっていく。

「歴史的な売り手市場」は、永遠には続かない

もうひとつ、雑誌の時代を生きた人間として言っておきたいことがあります。

市場の風向きは、変わるときは一気に変わります。 私は追い風のない時代に5回転職して、それでも最後には納得できる会社にたどり着きました。だから断言できますが、向かい風の中の転職は、できるけれど、しんどい。選べる求人が少なく、交渉の余地もなく、妥協を重ねることになります。

今は逆です。求人が多く、賃金は上がり、20代というだけで歓迎される。この条件が全部そろう時期は、そう長くは続かないかもしれない。 少なくとも、私の20代には一度も来ませんでした。

だからといって「焦って今すぐ辞めろ」ではありません。言いたいのはこうです。

風が吹いているうちに、自分の値段を確かめておけ。

追い風の使い方(具体的に)

  • 同じ業種の求人を眺めて、今の自分の相場を知る。 転職サイトで業種と経験年数で絞るだけ。10分でできます
  • 転職エージェントに登録して、市場の話を聞く。 無料です。「今のあなたなら、どのくらいの条件が狙えるか」をプロが教えてくれます。この「風を読む係」は、雑誌の時代には存在しませんでした
  • その上で、動くか残るかを自分で決める。 外の相場を知った上で「今の会社は悪くない」と分かれば、それも大きな収穫です

まとめ:風は、待っていた人には吹かない

  • 賃上げは3年連続5%超。給料が「上がる時代」に入った
  • 転職した20代は、年収が平均21.5万円上がっている
  • 求人倍率は2倍超。あなたが「選ぶ側」に立てる時代が来ている
  • ただし二極化の時代。「上げられる会社」を選べるかどうかで差がつく
  • 追い風は永遠ではない。吹いているうちに、自分の相場を確かめる

情報が雑誌しかない時代、向かい風の中で5回転職した人間からの本音です。今のあなたたちは、道具も風も揃っている。 あとは、確かめに行くかどうかだけです。


※本記事の数字の出典: 連合・2026春季生活闘争 回答集計(労働政策研究・研修機構) / マイナビ 転職動向調査2026年版 / doda 転職市場予測2026